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カンロニン:用法用量を守って正しくお使いください

I will be able to teach zazen, the sitting-meditation, to everyone in English.都内にある禅宗寺院の中の人。仏教、イベント、本、教育、組織、アナログゲームなど、日々考えていることを綴ります。現在仏教になじみのある方、まったく興味のない方、みなさまに読んでいただけたら幸いです。

【レポート】お水取り~修二会しゅにえ(於 奈良 東大寺二月堂)

2013.3.12。奈良の東大寺へ行ってきました。その目的は、お水取り。
お堂の中での行法は写真撮影できないので、肝心の内容が分からないようなレポートですけれど・・。お目汚しにもなりませんがどうぞ。

奈良に、春を告げる『修二会』

お水取りとは、奈良東大寺で1200年以上前から、毎年行われている修二会という法会の一部分のこと(不退の行法)。
修二会。奈良に春を告げる行事として、多くの拝観者がいらっしゃいます。一般の方も拝観することは出来るのですが、すごく並びます。今回有り難いことにご縁を戴きまして、別枠で拝観してきました。
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修二会(しゅにえ)とは、東大寺二月堂のご本尊・十一面観音に罪過を懺悔して除災招福を祈る、悔過という儀式。
その期間は長く、2月18日~3月15日で2月中は別火といって支度期間。3月に入ってから本行となり、3月12日の夜中に行われるのが「お水取り(おみずとり)」。いつからか、修二会そのものをお水取りと呼ぶようになったそうな。
たった一日でしたが、奈良時代から続く伝統ある法会、ばっちり朝まで拝聴。

お松明(おたいまつ)~二月堂前まで上がります

修二会はお水取りとも呼ばれますが、「お松明(おたいまつ)」とも呼ばれています。
二月堂で勤行する人たちを練行衆といいます。彼らがに上堂するため、足元を明るく照らしてあげる松明が、すんごいことになったのでした。12日はさらに凄い。籠松明といって、大きくて、重いのです!

一般ルートは大仏殿→大鐘ルートなのですが、チケットを持っている人は大仏殿裏から境内を歩いて行きます。すると・・・。
お松明見たさに人が集まるわけですが、すごい人。
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湯屋の目の前には、暖を取るための薪が積み上げられ、籠松明が並んでいました。
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この大きな松明(12日だけ!)に火が付けられ、童子が松明をかかえて登廊を駆け上るわけです。

鐘が撞かれ、籠松明スタート


ちょっと画像が悪いのですが、童子(といっても大人です)が籠松明を肩に乗せています。
12日は11人が二月堂へ上がるため、計11本の籠松明が童子によって運ばれます。回廊の松明が見えますか?始めの頃は灯りが消されて、お松明(とケータイ・カメラ)の灯りだけになります。普通の松明で40kgほどなのだそうですが、籠松明はさらに+20kgほどだそうで・・。
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このお松明。お松明の火の粉を浴びると一年を無事に過ごせる、ですとか。灰を持ってかえり神棚・仏壇・玄関などに飾ると云々など、信仰?があるそうです。そのためか二月堂真下の混みようったらありません。
私はだいぶ遠くから見ていたのですが(閼伽井屋と食堂のあいだ)、帽子やダウンに灰がかかっていました。

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童子がワッサワッサと松明を揺らすため、消防署の方が大活躍!

お松明ののち、初夜・半夜・後夜・晨朝

日によって異なるわけですが、毎日のお勤めは 昼間に日中&日没の法要。お松明後、初夜・半夜・後夜・晨朝の行法をおこないます。法要の名前ではなくて、法要をする時間の名前でして、意味は同じですが法要の中身が違います。勤行する方も、拝観している方も大変ですね。

12日は鐘が撞かれる時間、お松明の始まる時間、その後の二月堂での法要の時間、最終日並にすべてが遅くはじまります。おかげで練行衆の下堂は午前4時。勤行満願のためとはいえ、大変に有り難いことです。

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奈良県警の方々も警備お疲れ様です。

お水取り(詳しくはコチラ

二月堂の中にはチケットを持っている人だけが入ることができます。ただし録音・撮影は禁止。
初夜での過去帳読み上げ(「青衣の女人」などで有名、5日と12日のみ)、半夜後の「走り」行法(上七日と下七日の後半三日間ずつのみ)などなどがありまして・・。

お水取りは後夜の最中におこなわれます。咒師を先頭に、六人の練行衆が童子たちとともに井戸から水をくみ上げに行きます。
この階段を三往復(右側に二月堂)。
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篝火(大砲のような、大きい松明)と奏楽の中、童子や、御幣を持つ講社の人たち。汲んだ水を入れる閼伽桶を運ぶ庄駈士。水をくむ井戸がある、閼伽井屋へとゆっくり向かいます。途中、興成神社で祈りを捧げます。
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この香水が、仏前に供えられます。さらに参詣者にも分け与えられるのです。ぺろっと飲み、すりこむすりこむ。

後夜の再スタート後、達陀(だったん)

中途のお水取りがおわり、練行衆が堂内へと戻ります。後夜が再スタートして、大導師作法・咒師作法の後「達陀(だったん)」の行法へとうつります。
肝心のどういうことをしているのか?という写真をお見せしたいのですが、撮影禁止なので・・(コチラのホームページの最初の画像が、達陀と呼ばれる火の行法を礼堂から撮った写真)。
まー・・中で何やってるかと言うと、もう凄いんですけども、とにかく火なんですよね。火。火の行とも言われる修二会、燃やす気か?・・というほどです。
達陀後、晨朝。この晨朝は行法が短時間のため、参詣者は下堂するよう言われます。これも悔過の儀式のためです。

そんなこんなで、長い夜もおわり、12日のお勤めは終わるわけです。お疲れ様でした。

奈良国立博物館 特別陳列「お水取り」

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東大寺のホームページに掲載されている文章です。

修二会行事は、イベントではありません。
松明を見るためだけのツアー企画ではなく、奈良国立博物館で開催される特別陳列「お水取り(毎年2月中旬~3月中旬開催)」などで行事の意義を理解された上で、二月堂へお参りされることをお薦めします。

もしお水取りを拝観される方がいらっしゃいましたら、前後でご覧になることをおすすめします。
本で予習して、本番を見て、翌日に特別陳列に行ったのですが、あーこれなのかー、そういう意味なのか・・と勉強になりました。
お水取り|奈良国立博物館

おわりに

修二会の正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」、つまり仏前での懺悔なわけです。
知っていようと、知らずにいようと、私たちは日々さまざまな過ちを犯している。その過ちを、二月堂の本尊 十一面観世音菩薩の御前で懺悔するための、悔過会。その内容を見れば、

  • 悔過−悔過−(長い休憩、お松明)−悔過−大導師−呪師−悔過−(短い休憩=本手水)−悔過−大導師−呪師−悔過

このようにひたすら悔過作法を繰り返しています。繰り返す前に、さんざん準備をするわけだし(別火といって身を清めていく)、籠もる。この、すさまじさたるや。

奈良仏教から平安仏教へと時代が経るにつれて、祈祷の面ばかりクローズアップされてしまった仏教。ご祈祷と対を成すかのようにある、身心清浄を誓うための行法は絶対必要。
日本全国の各寺院では、お施餓鬼やご祈祷などの法要を行っています。その法要は、有縁無縁三界万霊、参詣される檀信徒や地域の方々のためです。
自分たちだけのために行をするのではなくて、鎮護国家・天下泰安・風雨順時・五穀豊穣・万民快楽のために。功徳を振り向けるため同事に大切なことがあるんだと、不退の行法からの学びがあります。単純に作法ひとつひとつにしても(法螺貝の吹き合わせで場面変更、という分かりやすさ)(真言)(六事行道)、古代といって軽んじてはいけないと。


懺悔とは、お坊さんにとって、まず第一のこと。懺悔文を気持ちを込めて朗々と三辺読めばいいというわけにはいきません。人々の幸福・罪過の懺悔を願う私たちの心はもとより、縁というこの世界の理解を進めなければ、本当の讃仏礼拝の行として、祈りを捧げることはできないのでしょう。

参考図書

東大寺 お水取り 春を待つ祈りと懺悔の法会 (朝日選書)

東大寺 お水取り 春を待つ祈りと懺悔の法会 (朝日選書)

街道をゆく〈24〉近江・奈良散歩 (朝日文庫)

街道をゆく〈24〉近江・奈良散歩 (朝日文庫)